第8図 図版2
第2節 2号墓
墓は、調査区内の東側に位置し、東隣に 1 号墓が所在している。墓の規模や構築方法は 1 号墓と ほぼ同じだが墓庭の標高で比べると 2m 程高い位置に造られている。墓口は開いていて、墓庭には板 状の閉塞石や香炉石、遺骨の入っていない 19 点の蔵骨器が整然と置かれていた。状況から、遺骨の みを移転して蔵骨器が廃棄されたものと判断された。
墓口の寸法は、幅 0.6 m、高さ 0.9 m、羨道の長さは 1.0 mを測り、墓口の方位は北東(N47°E)
を向く。墓口の造り方が特徴的で、羨道の片側壁の途中を断面L字形に成形している。このL字部分は、
閉塞石が墓室側へ倒れないようにする「かかり」の役目を果たしている。このタイプの墓口は、基本 的には入口寄りの両側壁や上部壁を断面L字形にすることが確認されており、類例から閉塞石が板状 になる傾向が窺える。また、墓庭側の閉塞石の転倒対策としては、香炉石(押え石兼用で、墓口幅と ほぼ同じ寸法の横幅をもつ)が配置される事が多い。サンミデーと墓口下部には石灰岩の切石が使用 され、モルタルで仕上げている。モルタルは近代以降の補修と推察された。
墓室は、棚(コ字状+1段)と汁ヒラシからなり、類型の 6 類 b に分類される。平面形は正方形で、
幅と奥行きは 2.5m、高さは 1.9 mを測る。墓室内に堆積土が無いことからほぼ造墓時の状態と考え られた。このほか正面 2 番棚と右棚に円形の浅い凹みが 4 箇所確認されている。この凹みの直径が 蔵骨器の底径サイズと推察されたため、蔵骨器を据えるためのものと考えられた。この凹みの構築時 期については、墓室が手狭となり整理が必要となって行った可能性が高いと考えられることから、墓 が機能していた終盤頃と推察された。
墓庭は、寸法が 4.5 m× 4.2 mを測り、入口は北東隅に造られている。基盤砂岩層を利用した土手 状の庭囲いを有し、西側に面した庭囲い部分の途中に用途不明の横穴がある。穴の寸法は幅 0.9 m、
奥行き 0.4 m、高さ 0.5 mを測る。また、墓庭入口近くでは土坑(幅 0.55 m、長さ 1.4 m、深さ 0.1
~ 0.25 m)が検出されており、土坑内から瓶 2 点と煙管の雁首と吸口が出土した。第 14 図 52 の瓶 と同図 58・59 の煙管はセットで出土し、少し離れた位置から第 14 図 53 の瓶が1点出土した。出 土地点がやや離れており、穴の深さも異なるため、2 基の土坑の可能性も考えられたが、掘形で明確 に分けることはできなかった。
墓の造営年代を明らかにすることはできなかったが、蔵骨器の銘書の古い年代は「嘉慶 18 年(1813 年)」で、新しいものは「1969 年」が確認されており、近年の区画整理に伴う墓移転時まで使用さ れていたものと推察された。
図版 5 2号墓 左:除草後の状況 右:蔵骨器の廃棄状況
第 10 図 2号墓 平・断面
< 墓室横断面図 >
< 平面図 >
<縦断面図>
< 墓庭横断面図 >
EL=109.300 m
EL=109.300m
EL=109.300 m
S=1/60
2m 0
図版6 2号墓 1段目左:掘削前の状況 右:墓口 2段目左:検出後 右:庭囲いの不明横穴
3段目左:凹み遺構(正面二番棚) 右:凹み遺構(右棚)
4段目左:閉塞石と香炉石 右:土坑内の遺物検出状況
第6表 - 1 2号墓蔵骨器の観察一覧表
(蓋)①つまみ ②文様等 ③調整他 (身)①正面示形 ②文様等 ③調整他
1
マンガン釉甕形(蓋)29.8 24.2 16.9 11.8
①有孔宝珠。つまみ台2段。
②鍔3.0cm。かえり2mm。
③外面:水挽き後、横位のヘラ削り。内 面:水挽き。
四男高嶺里子親 雲上正行妻同治 拾壱年申十月二 十六日死去光緒 三年丑二月二十 八日洗骨/
壽二十二
死去:1879
洗骨:1891 墓庭
16
マンガン釉甕形(身) Ⅳ 28.9 34.2 22.6 2.9①屋門:アーチ形貼付。
②横帯凹2・凸1・凸2・凹3。肩部:沈線葉 文。胴部:沈線蓮葉文。腰部:沈線波状 文2段。底面孔:半月形6個。
③外面:底部近くまで丁寧なナデ調整、
斜位ヘラ削り。内面:水挽き。
四男高嶺里子親 上正行妻壽二十 二同治拾壱年申 光緒三年丑二月 二十八日洗骨
死去:1879
洗骨:1891 墓庭
17
マンガン釉甕形(身) Ⅲ 27.3 34.1 23.0 .7①屋門:位牌形貼付。屋門内露胎。
②横帯凹2・凸1・凸3・凸3。肩部:沈線鋸 歯文(一部分)。胴部:貼付蓮華文+沈 線茎文。腰部:沈線波状文1段。底面 孔:半月形6個。
③外面:器面全体にナデ調整、胴下部 にヘラ削り、内面:水挽き。
墓庭
18
マンガン釉甕形(身) ⅣB 3 .3 42.4 23.2 63.6①屋門:唐破風形貼付。
②横帯凹2・凸1・凸3・凹3。肩部:沈線葉 文。胴部:沈線蓮華文。腰部:沈線波状 文2段。底面孔:円形16個。
③外面:器面全体にナデ調整、胴下部 ヘラ削り。内面:水挽き。
墓庭
19
マンガン釉甕形(身) Ⅳ 29.9 34.9 20.7 .7①屋門:アーチ形貼付。
②横帯凹2・凹1・凸3・凹4。肩部:沈線葉 文。胴部:沈線蓮華文。屋門内:貼付蓮 華上に仏、腰部:沈線波状文2段。底面 孔:三日月形9個。
③外面:器面全体にナデ調整、胴下部 ヘラ削り。内面:水挽き。
墓庭
20
マンガン釉甕形(身) ⅣB 33.0 40.2 22.4 61.2①屋門:唐破風形貼付。
②横帯凹3・凸1・凸3・凹3。肩部:沈線葉 文。胴部:沈線蓮華文。腰部:沈線波状 文2段。底面孔:半月形14個。口縁内面 に「○+」の墨書。
③外面:器面全体にナデ調整、胴下部 ヘラ削り。内面:水挽き。
墓庭
21
マンガン釉甕形(身) Ⅳ 30.3 37.1 19.0 6.7①屋門:アーチ形貼付。屋門内露胎。
②横帯凹2・凸1・凸2・凹3。肩部:沈線葉 文。胴部:沈線蓮華文。腰部:沈線波状 文2段。底面孔:半月形6個。
③外面:器面全体にナデ調整、胴下部 回転横ナデ。内面:水挽き。
墓庭
22
マンガン釉甕形(身)Ⅴ 以降
19.1 24.0 1 .8 39.6
①屋門:アーチ形沈線。
②横帯凹2・凹1・凹3・凹3。肩部:沈線葉 文。胴部:沈線蓮葉文。胴下部:沈線波 状文2段。底面孔:円形8個、雑な穿孔で 空いていない孔が3個ある。
③外面:水挽き後、横と斜位のナデ調 整、胴下部回転ヘラ削り。内面:水挽 き。
墓庭 挿図番号 観察所見
図版番号
寸法
(cm)
連
番 名称 型
式
出土 地点 被葬者
人数 性別 年齢 銘書